株式会社を設立する際によくある質問
株式会社の設立に際しお客様から寄せられた質問の中から代表的なものをまとめました。検討中の方も是非参考にしていただければ幸いです。
社名の決め方
以前と違い、商号決定の自由度が飛躍的に高まりました。改正前商法には「他人が登記した商号は、同一の市町村内において同一の営業のために、これを登記することができない」との規定があり、設立手続において「類似商号調査」を行う必要がありました。
しかし、新会社法施行に伴い、同一市町村内という規定が企業活動の広域化という実情に合わないとの判断から撤廃され、同じ住所に同じ商号でなければ登記が認められることになりました。
ですが、不正目的の商号使用は、不正競争防止法により使用差止めや損害賠償請求が可能ですので、あまりにも有名な商号を使用するのは危険ですし、お時間があるのであれば簡単な商号調査はやっておいた方が無難でしょう。
事業目的の書き方
定款に記載する事業目的には、現在行っている事業や今後行う可能性のある事業を記載します。事業目的を記載するに当たり、「適法性」「営利性」「明確性」の、3要件を満たしていなければなりません。
まず「適法性」についてですが、法令違反や公序良俗違反を会社の事業目的にすることは出来ないのは当然のこととして、他の法律で事業許可を規定する特殊な事業は、事業目的にすることはできません。また、株式会社は営利法人ですから、ボランティアなど非営利活動を事業目的とすることはできません。
最後に「明確性」ですが、別の人が事業目的を見て、一目でわかるくらい具体的であればOKです。業界人しかわからない文言や比較的新しい言葉を使用する場合には事前に法務局に確認した方が良いでしょう。
資本金はいくら必要?
これまでは、株式会社を設立するには1000万円の資本金が最低限必要でしたが、この最低資本金制度は廃止され、資本金1円から会社設立登記ができるようになりました。
しかし、資本金1円だと売上げが立ち、取引先からの入金があるまで、理屈の上では、会社として費用の計上が出来ないことになります。仮にその期間に生じた領収書を費用計上したい場合には、増資の手続きをとるか、個人貸付の形を取る必要があります。増資の場合は登録免許税がかかりますし、帳簿処理の面倒くさい個人貸付の形を取るくらいなら、株式会社を設立する際にある程度の資本金を積んでおいたほうが楽です。
取引先の信用問題もありますし、資本金は可能な限り多いほうがいいと思います。
現物出資の方法
現物出資とは、株式会社の設立や増資の際、金銭以外の財産で出資することです。新会社法の施行により現物出資総額が500万円までは一律、検査役の調査が不要になりました。
現物出資をする場合には定款に現物出資する者の氏名、出資の目的である財産とその価額を記載しなければなりません。そして設立登記申請の際、別途、調査報告書と財産引継書を添付することになります。
資本金払込証明の仕方
これまでは株式会社の設立登記添付書類として、確実に出資金が払い込まれたことを証明するために、銀行が発行する払込金保管証明書を添付しなければなりませんでした。
銀行が簡単に証明書を発行してくれず、また2万円超の費用もかかるため、株式会社の設立手続きの一つの障害でありましたが、新会社法施行により、発起設立の場合は代表取締役になる人が現在持っている預金通帳を使い、資本金の払い込みを証明することになりました。資本金額を振り込み、通帳のコピーをとればOKです。
なお、募集設立の場合は、従来通り払込金保管証明書を添付しなければなりませんのでご注意ください。
譲渡制限会社とは?
株式譲渡制限会社とは、株式の譲渡や売却などについて、定款に「会社(取締役会や代表取締役とする定款が多い)の承認が必要」という定めがある株式会社のことです。株式譲渡制限会社には多くの特例があります。
役員の任期を最大10年とできること、取締役会や監査役を設置しないこと、株式相続人に対し株式売り渡し請求をして、自己株式として買い取れることなどです。株式公開を目指すのでなければ、普通は株式譲渡制限会社を選択します。
取締役会は必要?
取締役会を設置するには取締役が3名必要です。そして取締役会を設置した場合には、監査役も設置しなければなりません。いったん取締役会を設置してしまうと、役員の確保に苦慮するケースが出てくるかもしれません。
また、取締役を集められずに、取締役会を廃止するには3万円の登録免許税がかかりますし、株式の譲渡に取締役会の承認が必要という譲渡制限規定を設けている場合には、その項目の変更登記に更に3万円の登録免許税が必要になります。
監査役の設置も含め、機関設計にはある程度、会社の未来像を展望する必要があります。
本店所在地について
定款上の本店所在地は最小行政区画である市区町村までを記載すればOKです。市区町村までの記載にしておけば、所在地を変更した場合でも定款を変更しないですむメリットがあります。
そして、設立登記申請までに具体的な地番を決定することになります。
代表取締役会の数は?
取締役会を設置せずに複数の取締役を置く場合、定款に代表取締役の選任規定がないと取締役各自が会社を代表することになります。代表取締役を設置する場合には、その数に制限はありません。
発行可能株式総数
発行可能株式総数は設立に際し発行する株式数を下回らなければ何株と記載してもOKです。しかし増資する可能性も考え、多少多めに記載しておく方が良いでしょう。例えば設立時に200株発行するのであれば発行可能株式総数は1000株とか2000株位が適当でしょう。
また1株の金額に規制はありませんが1万円とか5万円とする会社が多いです。なお、定款に株券発行の定めを設けなければ、自動的にその株式会社は株券不発行会社となります。
公告について
株式会社には決算公告をする義務がありますし、また合併や組織変更などの際に会社債権者向けに公告をしなければなりません。その公告をする手段を定款に記載し、登記しなければならないのですが、「官報」「電子公告」「新聞」の3つの方法から選ぶことができます。
官報を公告手段として選択しても、貸借対照表等が掲載されるホームページのURLを登記すれば、決算公告のみをインターネットのホームページに掲載することも可能です。電子公告を選択した場合、過去5年間の決算を公開しておかなければなりません。官報にかかる費用は、一度の掲載でおおよそ6万円です。
電子公告は、ご自身でホームページをお持ちのようでしたら、公告のページを作成していただき、そこで公開するという形が一般的です。 この場合の費用はレンタルサーバーによるので、個別に異なります。
また、電子公告を希望するが、自身のホームページには乗せたくない、または、ホームページをお持ちでない場合は、公告専用のページをレンタルしてくれる業者があります。確定した貸借対照表と注記を送付するだけで、後は自動的に処理してくれますが、一定の金額がかかります。詳細につきましては、下記のURLをご参照ください。
電子決算公告サイト(http://www.web-koukoku.jp/index.asp)
新聞公告については、日経新聞で1cm×1段につき最低45,700円程度かかり、数段分必要になるかと思われます。
通常公告は1年に一回、決算時に行います。
事業年度の決め方
人事業の場合は1月1日から12月31日までと事業年度が決まっていますが、会社の場合は事業年度を自由に決定することができます。
例えば11月設立の場合、設立から最も遠い月(10月)を決算月として11月1日から翌年10月31日までの事業年度とすることも出来ますし、10月、11月が忙しいのであれば、比較的暇な7月を決算月として、8月1日から翌年7月31日までの事業年度とすることも出来ます。
もし2月を決算月とする場合には、閏年がありますので、定款には「3月1日から翌年2月末日までの事業年度」と記載するように注意してください。
確認会社への影響
資本金1円設立自体は、確認会社において可能でしたが、5年以内に株式会社は1000万円、有限会社は300万円の資本金を用意しなければ解散するという文言が、定款に記載されています。すでに増資が終了していたり、間違いなく達成できる場合は問題ないのですが、そう簡単に何百、何千もの資本金を用意できるものでもないと思います。
新会社法施行により、最低資本金規制そのものがなくなりましたので、上記の資本金まで必ず増資しなければならない訳ではありませんが、その場合、確認会社は新会社法施行後に、株主総会で「解散の定め」を定款から削除するという決議をして、登記簿から削除する登記申請をしなければなりません。会社が5年後に解散事由に引っかかったら困りますよね。
現在の有限会社の取り扱い
現在の有限会社は、新会社法施行後は、商号中に有限会社という文字の使用を義務付けられる特例有限会社という位置づけになります。
現存する有限会社は、特例有限会社としてそのまま存続するか、株式会社に組織変更するかの選択をすることになりますが、株式会社へ移行するには、定款変更により商号を「有限会社」から「株式会社」に変えた後、2週間以内に「有限会社の解散登記」と「株式会社の設立登記」をしなければなりません。
そのまま有限会社として存続する場合は、以下の「特別の定めがある」場合を除いて、新たな登記手続きをとる必要はありません。
- 議決権の数又は議決権を行使することができる事項に関する別段の定め
- 利益の配当に関する別段の定め
- 残余財産の分配に関する別段の定め
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